肩こりに効く葛根湯の秘密|武蔵小金井 整骨院

2025年05月21日

肩こりはなぜ起きる?現代人を悩ませる慢性的な不調

肩こり」と聞いて、全く心当たりがないという人は少ないのではないでしょうか?現代の日本人の多くが抱える慢性的な不調の代表格がこの肩こりです。特にデスクワークが多い方やスマートフォンを長時間使用する習慣がある方は、首から肩、背中にかけての筋緊張を感じることが多いはずです。

 

 

肩こりの正体とは?

肩こりとは医学的には「僧帽筋」や「肩甲挙筋」などの筋肉が過緊張を起こし、血流が悪化することで発生する痛みや重だるさ、こわばりの総称です。筋膜性疼痛症候群(MPS)や頚肩腕症候群といった診断がされることもあります。加えて、姿勢の歪み、自律神経の乱れ、眼精疲労、ストレスなどが複合的に関与し、慢性的な症状へとつながっていくのです。

当院・スポルト鍼灸整骨院 武蔵小金井店でも、「首から肩にかけて常に重だるい」「ひどいときは頭痛も起きる」といった訴えで来院される方が多くいらっしゃいます。中には「マッサージしてもすぐ戻ってしまう」とお悩みの方もおられます。

根本原因は「冷え」や「気血の滞り」かも?

整骨院での筋肉・骨格アプローチも非常に重要ですが、東洋医学的な視点を取り入れることで、より本質的な改善が期待できます。東洋医学では、肩こりは「気血(きけつ)」の滞りや「寒邪(かんじゃ)」の侵入によって起こるとされており、特に「風寒の邪」によって筋肉が冷えてこわばるタイプには、ある漢方薬が大きな力を発揮します。

そう、それが「葛根湯(かっこんとう)」です。

漢方としての葛根湯のポテンシャル

「葛根湯」と聞くと、風邪薬としてのイメージを持たれる方が多いかもしれません。実際、発熱初期や首筋のゾクゾク感に効果を発揮することでも知られる漢方薬です。しかしこの葛根湯、実は“肩こり”にも非常に有効なのです。

葛根湯に含まれる「葛根(カッコン)」は、筋肉の緊張を緩め、血流を改善する働きがあるとされます。また、「麻黄(マオウ)」や「桂枝(ケイシ)」が発汗を促進し、冷えを取り除いて体表部の血流を良くします。つまり、筋肉の緊張を内側からほぐし、こわばりを解消するという点で、肩こりの根本治療に通じる可能性があるのです。

肩こり×葛根湯の相性が良い人とは?

もちろん、葛根湯が全ての肩こりに効くというわけではありません。特に冷え性体質で、首肩の筋肉が固く張っており、風邪の初期症状を思わせるようなゾクゾク感を伴う場合には、非常に高い効果が期待できます。

また、肩こりの症状が急性である場合や、「朝方に肩がこわばる」「寒くなると肩が重くなる」といった訴えのある方にも適しています。一方で、体力が著しく低下している方や、発汗が止まらないタイプの方には不向きなこともあるため、体質を見極めたうえでの処方が大切です。

 

 

葛根湯の構成と肩こりへの作用メカニズム

前項では、「肩こり」が筋肉の緊張や血行不良、自律神経の乱れなど複合的な要因で起こること、そして東洋医学では“風寒の邪”や“気血の滞り”が背景にあるとされ、そこに対する漢方薬として「葛根湯」が有効である可能性をご紹介しました。今回は、葛根湯がなぜ肩こりに対して効果を示すのか、その成分構成と作用機序について掘り下げていきます。

葛根湯の基本構成と役割

葛根湯は、古代中国の医学書『傷寒論』に記載されている代表的な処方の一つです。その構成生薬は以下の7つで構成されています。

  • 葛根(カッコン)
  • 麻黄(マオウ)
  • 桂枝(ケイシ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)

それぞれの役割は以下の通りです(※あくまで東洋医学的解釈に基づきます):

葛根(カッコン)

肩や首の筋肉の緊張を緩め、血流を促進する主薬。特に、僧帽筋周囲のこわばりに作用するとされ、肩こりの中心的症状に対処します。

麻黄(マオウ)・桂枝(ケイシ)

どちらも“発汗解表”と呼ばれる作用を持ち、体の表面にこもった「寒気」や「風邪の邪気」を発散させるとされます。これにより、冷えによる筋肉のこわばりが和らぎます。

芍薬(シャクヤク)

筋肉のけいれんや痛みに対して鎮静的に働き、緊張をゆるめる作用があります。肩の筋肉がギュッと硬直しているタイプの肩こりに適しています。

生姜・大棗・甘草

これらは主に“調和薬”として、他の生薬の働きを助けつつ、胃腸を保護し、全体の作用バランスを整えます。冷えや虚弱体質の人でも飲みやすい処方構成です。

西洋医学との視点の違い

西洋医学の医療現場では、一般的に肩こりに対しては、トリガーポイント療法やストレッチ、物理療法(温熱、電気など)が行われます。これらは主に筋・筋膜性の緊張や血流不全を“外から”アプローチする手法です。

一方、葛根湯は“内側から”身体の反応に働きかけ、筋肉のこわばりそのものを改善しようとする薬理的アプローチといえます。特に「風寒表証(ふうかんひょうしょう)」と呼ばれる体質の方――冷え性で、肩や首が冷えて固まりやすい方には、内外の両面からのアプローチが極めて有効です。

葛根湯は誰にでも合うわけではない

ここで大切な注意点として、葛根湯は万能薬ではなく、適応する体質があります。特に発熱時や寒気があるときに用いる処方であるため、長期的な慢性肩こりや、体力が著しく低下した方には適さない場合もあります。

したがって、セルフでの長期服用は避け、必要に応じて専門家(薬剤師や漢方医)に相談することが推奨されます。

 

 

葛根湯と施術の相乗効果 ― 肩こり改善の実践的アプローチ

ここまでで、肩こりの原因と東洋医学的な考え方、そして漢方薬「葛根湯」がどのように肩こりに作用するかについて詳しく見てきました。しかし、気になるのは「実際にどうすれば肩こりを根本から改善できるのか?」という点ではないでしょうか。

今回は、葛根湯を取り入れるタイミング、さらに肩こりを再発させないための日常生活での工夫についてご紹介していきます。

葛根湯はいつ飲むのが効果的?

葛根湯は、症状の“初期”に用いることが最も効果的とされています。肩こりであっても、急に首から肩にかけて強い張りや痛みが現れたとき、あるいは「風邪の前兆かな?」と思うような寒気や背中の重だるさがある場合には、葛根湯を飲むことで症状の悪化を防ぐことができます。

また、冷房などで体表が冷えて筋肉が固まりやすい夏場にも、朝の服用が効果的なケースがあります。特にデスクワークが中心で、動かないまま冷えが蓄積していくようなライフスタイルを送っている方に向いています。

ただし、慢性的な肩こりには他の漢方(例:当帰芍薬散や桂枝加苓朮附湯など)が適していることもあり、体質や季節を考慮したうえでの判断が重要です。

肩こりを再発させないためのセルフケア

葛根湯によって一時的に改善しても、再び肩こりがぶり返す方も多く見られます。これは、日常生活の姿勢や体の使い方に問題が残っているケースが多いためです。

以下のようなセルフケアを習慣化することで、再発のリスクを大きく減らすことが可能です。

  • 1時間に1回は首や肩を回すストレッチを行う
  • スマートフォンを見るときは顔の高さまで上げて、うつむき姿勢を避ける
  • 湯船にゆっくり浸かって全身を温める(葛根湯の効果をサポート)
  • 適度な運動やウォーキングで血行促進を図る
  • 睡眠環境を整え、首肩への負担が少ない枕を使う
葛根湯は「補完的アイテム」

葛根湯はあくまで治療を助ける「補完的な存在」です。肩こりを一時的に緩和するだけでなく、体質や生活環境を見直しながら、定期的なケアを継続することが、つらい症状から抜け出す最も近道となります。

武蔵小金井駅近くのスポルト鍼灸整骨院では、西洋医学と東洋医学の両面から肩こりにアプローチできる体制を整えております。「長年の肩こりを何とかしたい」「根本から体を変えたい」と思っているなら、ぜひ一度ご来院ください。あなたの肩こりの原因を一緒に見つけ、最適な施術とセルフケアのご提案をいたします。